Unknown Pleasures
Joy Divison・・・分かたれたよろこび。Unknown Pleasures・・・知られざるよろこび。N.Y.で発生したといわれるパンクがロンドンに飛び火してほんもののムーブメントになった1977年。セックス.ピストルズ、ダムド、ジャム(彼らは本人自身パンクとは思ってないものの)。そしてクラッシュ。セックス.ピストルズはシド・ヴィシャス、ジョニー.ロットン以外のメンバーはどうでもよく、しかもジョニー・ロッドンは頭脳犯だった。それは彼がP.I.L.に入ってからのすぐれたアルバムをきけばすぐにわかる。セックス.ピストルズはマルコム・マクラレンとヴィヴィアン・ウェストウッドのバンドだったのであり、ダムドやクラッシュにあったような音楽で苦しみ悲しみや混迷としたものをあらわしていくというバンドではなかった。ただ、シド&ジョニーの在り方そのものが、音楽よりもほんもののパンクというものだったのではないか。そこにはある種の力;パワーがあった。
ジョイ・ディヴィジョンが出てきたのはこのムーブメントの終わり頃である。彼らはVo.のイアンの自死によってみじかいキャリアを終えてしまったがそのアルバムはあまりの暗いイメージとトーンによってききづらく、決してメジャーになる音ではなかった。しかし今この「アンノウン.プレジャーズ」というアルバムをきいているとき、それがいかにあのイギリスの時代背景のなかで、思うかぎりのびのびと表現行為をおこなっているものかと思う。軽薄な気さえするパーカッションに強力なベースギター、それらはどこまでもどこまでも旋回しながら堕ちていく音楽の強力なエレメントである。そしてなによりも印象的なのはそれだけつよい音を炸裂させながら、どこかとても空疎で無意味でなんだか唖然とさせられてしまうようなある種の空気である。それはどんなにノイズに近い音であろうと、ジョイ・ディヴィジョンの音楽のなかにいつでも存在するものであり、悲しさでもなく、苦しさでもなく、虚しさが酷明にあらわれている、パンク以降、さまざまなスタイルを持ったバンドがあらわれた。ニューウェイブの誕生である。それはある意味では自由な表現をゆるされた時期だったともいえる。そんな時期にジョイ・ディヴィジョンはたった2枚のアルバムをのこして去っていかざるをえなかった。今、一部の人しかこのバンドについて語らない。しかしこのバンドはその後にでてきた多くのミュージシャンにどれほどの影響をあたえたことだろう。殊に80年代初期から次第に力を得てきたノイズという分野においてジョイ.ディヴィジョンの影が大きくみえかくれはしないか。





